株式会社PHP研究所は、2023年6月26日に『パシヨン』(川越宗一著/税込2,420円)を発売します。肥後南半のキリシタン大名・小西行長の孫で、禁教下での「最後の日本人司祭」となった小西マンショは、現存する記録が少ない謎の人物です。
新聞掲載時から「勇気をもらった」と反響
著者の川越宗一氏は、秀吉の東アジア侵攻と儒教を題材にした松本清張賞受賞作『天地に燦たり』でデビューし、2作目の『熱源』で直木賞を受賞するなど、いま最も勢いのある作家の一人です。『パシヨン』は、2021年4月から2023年6月にわたって、『河北新報』『静岡新聞』『南日本新聞』『長崎新聞』『琉球新報』などの各紙に順次掲載された、著者にとって初となる新聞小説を書籍化したものです。
直木賞受賞直後に連載開始となった本作は注目を集め、SNSには「毎朝勇気をもらった」「(登場人物の)行動力や熱さは毎日のエネルギー」「クライマックスは読み返すたびに泣ける」といった読者の声が相次いで投稿されました。
【著者のことば】
徳川氏に敗れた大名の孫であり、その幕府によって弾圧される信徒とともに生きた彼は、新しい時代に排除される側に在り続けた人といえるかもしれない。
ただマンショについて残る記録は少ない。
先人の多大な努力がありつつも事績は詳らかでなく、本作では私の想像が多くなる。
いっぽうで、新しい時代を作った側にも何らかの苦悩があったように思う。
敵と味方、あるいは悪いやつと善いやつに二分できるほど、人間も社会も単純ではないはずだ。
そのため、井上政重という人物にも登場してもらうことにした。
(新聞連載開始時に配信[【寄稿】小説「パシヨン」連載にあたって]より)
パシヨン
【あらすじ】キリシタン大名・小西行長の孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)の運命は、関ヶ原の戦さによって大きく変わった。
離縁された母・マリヤとともに彦七は長崎へ。
キリシタンへの迫害から逃れてきた、小西家の遺臣らの世話になりながら成長していく彦七だったが、彼には小西家再興の重圧がのしかかっていく。
キリスト教が禁じられ、信徒たちの不安が高まるなか、彦七はある重大な決断を下すのだが……。
【書誌情報】
タイトル :パシヨン
著者 :川越宗一
価格 :2,420円(10%税込)
判型・製本・頁数:四六判上製448ページ
ISBN :978-4-569-85486-1
発行 :PHP研究所
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-85486-1