「健康寿命」を本気で延ばす――医科・歯科・セラピストが手を組む“トライアングル連携”の最前線

「病気になってから治す」のではなく、「病気になる前に防ぐ」。そんな医療の理想像が、いま現実のものとなりつつあります。兵庫県西宮市発、予防未病健康医師協会が推進する“トライアングル連携”モデルは、医師・歯科医師・セラピストが垣根を越えて協力し、地域の健康寿命を本気で延ばす全国初の取り組み。半年で30名以上の専門家が参画し、すでに具体的な成果も。私が注目したのは、医療現場の「分断」を乗り越えたこの新しい連携の形です。

■「トライアングル連携」とは何か?

まず、トライアングル連携という言葉にピンと来ない方も多いかもしれません。これは、医師による診断・治療、歯科医師による口腔ケア、セラピストによる身体機能サポート――この三者が一体となって患者さんの健康を守る新しい医療モデルです。
従来は、病気の治療は医師、歯のケアは歯科医師、リハビリや身体のケアはセラピストと、それぞれが独立していました。しかし、例えば「歯周病菌が全身疾患に関与する」「運動不足が生活習慣病リスクを高める」など、健康は一つの分野だけで守れるものではありません。
私自身、医療現場で「もっと連携できれば…」と感じたことが何度もあります。トライアングル連携は、まさにその壁を打ち破る試みです。

■なぜ今、連携が必要なのか?

背景には、全身の健康と口腔ケアの密接な関係が明らかになってきたことがあります。たとえば、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者の52%が歯周病菌を保有しているというデータ。さらに、生活習慣病や運動器疾患の予防には、セラピストによる早期介入が重要だとされています。
つまり、「歯の健康」「身体の動き」「全身の診断」――これらをバラバラに考える時代は終わりつつあるのです。

■半年で見えた“具体的な成果”

このモデルが本格始動して半年余り。私が特に注目したのは、患者さん自身の行動変容です。
  • 予防未病自己診断シートの導入で、自分のリスクや生活習慣を「見える化」
  • その結果、受診や口腔ケア、運動習慣の改善に自ら取り組む人が増加
  • 医師・歯科医師・セラピストが共同で症例検討し、慢性痛や疾病の予防に具体的な成果
  • 地域の健診と連携したモデル事業もスタートし、複数の市町村で拠点が広がりつつある
この「自分ごと化」こそ、健康寿命を延ばす最大のカギだと私は考えています。

■健康リテラシー教育と情報の“見える化”

もう一つのポイントは、健康リテラシー教育の強化です。全国予防未病セラピスト会では、慢性痛リスクを科学的指標で計測し、その場で患者さんや医療機関と共有。
たとえば、「歩行の現状」を解析して、健康教育と統計取得を同時に行うなど、現場の“肌感覚”とデータを結びつけています。
こうした一次情報や統計的エビデンスの蓄積は、今後の医療政策にも大きな意味を持つはずです。

■SNSやYouTubeで広がる“予防未病”の輪

意外かもしれませんが、SNSやYouTubeを活用した情報発信も積極的に行われています。
  • 予防未病健康医師協会のYouTubeチャンネル(こちら)では、医科・歯科医師によるインタビューを配信
  • 「つのだ式関節整体」チャンネル(こちら)では、歩行や運動器ケアの重要性を有名アスリートとともに発信
  • 予防のスペシャリスト全国版(こちら)では、全国のセラピストや医師のコラボ事例を紹介
動画は50万回以上再生されるものもあり、専門家の知見が一般の方にも届きやすくなっています。
「難しい話は苦手…」という方も、まずは動画で“予防未病”の世界をのぞいてみてはいかがでしょうか。

■今後の展望――“メイドインジャパン”の予防医科学モデルへ

この連携モデルは、
  • 予防未病自己診断シートの全国規格化・電子化
  • 市町村の健康増進・介護予防事業との連携
  • 医療費・介護費抑制につながる包括的な予防モデルの構築
  • 将来的には国際展開も視野に
と、着実にステップアップを目指しています。厚生労働省主催の「健康寿命をのばそう!アワード」への応募も予定されており、受賞すればさらに注目が集まるでしょう。

■読者へのメッセージ

「健康寿命を延ばす」と聞くと、どこか遠い話に感じるかもしれません。でも、自分の健康リスクを知り、専門家と一緒に予防に取り組むことは、誰にでもできる第一歩です。
もし「最近、体の調子が気になる」「家族の健康が心配」という方は、ぜひ一度、予防未病健康医師協会の情報や自己診断シートをチェックしてみてください。
あなたの“未来の健康”は、今日の小さな一歩から始まります。
【参考リンク】

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