
NPO法人となりのかいごが、介護離職の要因を調査した「介護離職白書2026」を発行しました。
概要
NPO法人となりのかいごは、2026年5月28日に「介護離職白書2026」を発行しました。本白書は、現在および過去に介護経験のある就業者2,573名を対象とした調査に基づき、介護離職に至るプロセスを構造的に分析しています。テレワークや柔軟な働き方の普及、改正育児・介護休業法など、企業の両立支援を取り巻く環境が変化する中で、制度を整えても離職が減らない現場の実態が確認されています。
介護離職白書2026:https://www.tonarino-kaigo.org/download/
調査名:介護離職白書2026 制度は進んだ。離職は減ったか。
調査主体:NPO法人となりのかいご
調査対象:20歳以上・男女・就業経験あり、介護開始時に就業中、10年以内に介護関与開始
サンプル数:2,573ss
調査期間:2025年8月25日~9月10日
離職者の6割超が制度利用経験あり、依然高い離職リスク
本調査によると、介護離職に至った人の60.3%が、介護休業、介護休暇、時短勤務、フレックスタイム、テレワークといった何らかの両立支援制度を利用していました。特に介護休業の利用率は前回調査(2020年)から約2.3倍に上昇しており、制度活用が進む一方で、離職を食い止めきれていない実態が浮き彫りになりました。また、介護開始から1年未満で離職するケースが依然として過半数を占め、最初の1年間が最も離職リスクの高い期間であることが明らかになっています。
「家族で介護すべき」意識の上昇と専門家への相談の重要性
「要介護者に関わる介護は、他人ではなく家族で行うべきだ」という意識は、2020年から2025年にかけて8.1ポイント上昇し、33.8%となりました。離職者においては、その意識が48.0%に達しています。この「家族で抱え込む」価値観は「親孝行の呪い」とも表現されており、制度面が充実しても離職を防ぐには、こうした介護観へのアプローチが重要となることが示唆されています。さらに、会社のみに相談した場合と比較して、家族や専門家(ケアマネジャー等)双方に相談できた群は、高負担状況下でもサポート満足率が高く維持されており、企業には専門家や家族へのハブ機能としての役割が求められています。
まとめ
「介護離職白書2026」は、両立支援制度の利用が進んでも介護離職が後を絶たない現状を明らかにし、その背景に「家族で介護すべき」という意識や、介護開始初期の高い離職リスクがあることを指摘しています。企業には、制度整備にとどまらず、従業員の介護観に働きかけるプッシュ型の支援が求められています。
関連リンク
https://www.tonarino-kaigo.org/download/
https://www.tonarino-kaigo.org/wp/wp-content/uploads/2020/06/kaigorishokuhkusyo_20200713.pdf