
鹿児島大学は、同大学の望遠鏡を用いた観測研究の成果をまとめた論文を発表しました。本研究では、チリに隠された超新星「SN 2023dbc」を赤外線で観測し、爆発が「ゆがんだ形」であったこと、そしてブラックホール誕生の可能性を初めて明らかにしました。
概要
鹿児島大学の研究グループが、チリに隠された超新星「SN 2023dbc」の赤外線観測により、爆発の形状とブラックホール誕生の可能性を明らかにしました。
- 研究主体: 鹿児島大学特任助教 山中 雅之を中心とするグループ
- 観測装置: 鹿児島大学開発の赤外線カメラkSIRIUS
- 観測対象: チリに隠された超新星「SN 2023dbc」
- 主な発見: 爆発が「ゆがんだ形」であったこと、ブラックホール誕生の可能性
- 論文掲載誌: Publications of the Astronomical Society of Japan
星の最期、超新星爆発の謎に迫る
超新星爆発は、星の最期における壮大な現象ですが、宇宙空間に漂うチリによって観測が困難になることがあります。人間の目に見える可視光線はチリに遮られやすい一方、赤外線はチリを透過しやすいため、チリの向こう側にある天体を観測するのに適しています。鹿児島大学の研究グループは、独自に開発した赤外線カメラ「kSIRIUS」を用いて、チリに隠された超新星「SN 2023dbc」の観測を行いました。
「ゆがんだ爆発」とブラックホール誕生の可能性
本研究では、理論的なモデルを用いて観測データを検証した結果、超新星の爆発が均一な球形ではなく、「ゆがんだ形」であったことを突き止めました。さらに、爆発に関わる熱源の質量が、通常の超新星と比較して想定をはるかに下回る量(通常の10分の1程度)であったことも判明しました。この結果は、爆発と同時に星の一部が中心に落ち込み、ブラックホールが誕生した可能性を示唆しています。
赤外線観測の有効性と今後の展望
今回の研究により、たとえ宇宙のチリに隠れて観測が難しい天体であっても、赤外線観測を用いることでその真の姿を明らかにできることが実証されました。研究グループは今後も鹿児島の望遠鏡を用いた赤外線観測を継続し、チリに隠された超新星の謎の解明を進めるとしています。また、本研究で示唆されたブラックホール形成プロセスは、近年の重力波観測などとも関連し、宇宙における星の一生の終焉に関する理解を深める上で重要な一歩となると期待されています。
まとめ
鹿児島大学の研究グループは、赤外線観測により、チリに隠された超新星「SN 2023dbc」の爆発が「ゆがんだ形」であったこと、そしてブラックホール誕生の可能性を初めて明らかにしました。この成果は、チリに隠された天体の観測における赤外線の有効性を示し、ブラックホール形成プロセスの理解に貢献するものです。
関連リンク
https://doi.org/10.1093/pasj/psag068
https://academic.oup.com/pasj/article-lookup/doi/10.1093/pasj/psag068
https://www.kagoshima-u.ac.jp/
https://www.instagram.com/kagoshima_univ.koho/