遺伝子改変不要の聴覚誘発技術を開発

外耳から赤外レーザーを照射し、外科手術や遺伝子改変なしで聴覚を誘発する新しい非接触型刺激技術が開発されました。

非接触型聴覚刺激技術の概要

同志社大学と慶應義塾大学の研究グループは、外耳から赤外レーザー光を照射することで、遺伝子改変や外科手術を必要とせずに聴覚を誘発する技術を開発しました。スナネズミを用いた行動実験により、レーザー刺激が「音」と同等の聴覚情報として動物の行動を制御できることを世界で初めて実証しています。本成果は、患者の身体的負担を軽減する次世代の聴覚補助デバイス開発に向けた重要な基礎技術となります。

研究成果公表日:2026年6月30日(UK時間)
掲載誌:iScience

レーザー刺激による聴覚知覚の仕組み

本研究では、あらかじめ音の合図で水が得られることを学習したスナネズミに対し、音の代わりにレーザーを照射する実験を行いました。その結果、動物は音と同様に水を期待する行動を示し、レーザー刺激を実際の音として知覚していることが確認されました。また、周囲に雑音がある環境下ではレーザー刺激への反応が弱まることも判明しています。これは、レーザー刺激が単なる光や熱への反応ではなく、脳内で音刺激と同様の神経処理を経て知覚されていることを示唆するものです。さらに、自然な音と同等に明瞭な聞こえが生じている可能性も示されています。

次世代の人工聴覚技術への展望

現在主流の人工内耳は外科的な電極埋め込みが必要であり、合併症のリスクや周波数再現性に課題を抱えています。これに対し、光を用いた刺激技術はより精密な制御が可能であり、次世代の治療法として期待されています。これまで光による聴覚刺激には遺伝子改変が必要でしたが、今回の技術はそれを不要とすることで、臨床応用への大きなハードルを越える可能性を示しました。今後は、この技術を応用した新たな難聴治療法の実現が期待されます。

まとめ

遺伝子改変を必要としない今回の赤外レーザーを用いた聴覚誘発技術は、将来的な次世代型人工内耳や難聴治療の新たな選択肢となり得る画期的な基礎知見です。

関連リンク

https://doi.org/10.1016/j.isci.2026.116588

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