卵巣明細胞がんで免疫療法が有効なタイプを発見

免疫療法が効きにくいとされる卵巣明細胞がんの一部に、特定のタンパク質が関与する有効なタイプが存在することを、近畿大学医学部らの研究グループが明らかにしました。

卵巣明細胞がんにおける免疫療法の新たな可能性

近畿大学医学部産婦人科学教室の村上幸祐講師、松村謙臣主任教授らの研究グループは、国立研究開発法人理化学研究所などとの共同研究により、難治性とされる卵巣明細胞がんにおいて免疫療法が有効なタイプを発見しました。この研究成果は、患者ごとの免疫療法の有効性を予測する「個別化医療」の実現に寄与すると期待されています。

研究概要
掲載誌:Molecular Cancer
論文掲載日:2026年6月30日(暫定版)、2026年7月9日(木)(最終版)
DOI:10.1186/s12943-026-02726-2

IL-17が導くがん治療のメカニズム

研究グループは、180例のヒト卵巣明細胞がんの組織解析を通じ、全体の約5%において炎症に関わるタンパク質「IL-17」が強く働いていることを突き止めました。このタイプのがんは、従来の予測指標とは無関係に免疫細胞が集まって活性化する「炎症のサイン」を示します。

さらなる検証により、IL-17ががん細胞に直接作用し、細胞内の炎症スイッチ「NF-κB」を活性化させることで、免疫細胞を呼び寄せる物質を放出させることが判明しました。マウスモデルを用いた実験では、IL-17が作用する環境下で免疫療法(抗PD-L1抗体)の効果が高まり、生存期間が延長することも確認されています。この仕組みにより、IL-17は免疫が働きにくい「免疫コールド」な状態を改善する引き金となることが明らかになりました。

まとめ

本研究により、IL-17が卵巣明細胞がんにおける免疫療法の効果を予測する新たな指標となる可能性が示されました。この知見は、卵巣明細胞がんに限らず幅広いがん種において、がん細胞自身が形成する炎症環境が治療効果を左右する重要な要素であることを示唆しています。

関連リンク

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42380903/

https://www.kindai.ac.jp/meikan/1898-murakami-kosuke.html

https://www.kindai.ac.jp/meikan/2124-matsumura-noriomi.html

https://www.kindai.ac.jp/meikan/3109-nagaoka-kouji.html

https://www.kindai.ac.jp/meikan/2550-kawahara-sachiyo.html

https://www.kindai.ac.jp/meikan/2975-kakimi-kazuhiro.html

https://www.kindai.ac.jp/medicine/

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