
武田医学賞が、大阪大学教授の荒瀬尚博士と東京大学教授の胡桃坂仁志博士に授与されることが決定しました。
2026年度武田医学賞の概要
武田科学振興財団は、医学界において顕著な業績を挙げ、医療の発展に寄与した研究者を対象として武田医学賞を授与しています。本賞は1954年に創設され、今年で72年目を迎える日本で最も伝統のある医学賞の一つです。本年度を含めた累計受賞者数は145名となります。
授賞式:2026年11月12日(木)午後6時より
会場:オークラ東京
副賞:1件につき3,000万円(賞状、賞牌、楯を併せて贈呈)
受賞者の研究テーマ
本年度の受賞者は、以下の2名です。
荒瀬尚博士(大阪大学教授):宿主―病原体相互作用に基づく疾患発症機構の解明
胡桃坂仁志博士(東京大学教授):クロマチン構造研究によるエピジェネティクス制御機構の解明と疾患研究への展開
荒瀬尚博士の研究業績
荒瀬博士は、宿主と病原体の相互作用に着目し、免疫応答や免疫異常の仕組みを研究してきました。特に、病原体が宿主免疫から逃避する機構や、病原体が自己免疫疾患に関与するメカニズムの解明において顕著な成果を上げています。中でも、エプスタイン・バーウイルスの再活性化などに伴う「ネオセルフ抗原」の提示が自己免疫疾患の発症要因となり得ることを提唱し、従来の自己・非自己識別の概念を拡張する新たな免疫識別機構を示しました。
胡桃坂仁志博士の研究業績
胡桃坂博士は、ゲノムDNAのエピジェネティックな制御の基盤となる、クロマチンの構造と機能に関する研究を推進してきました。クロマチン再構成技術やクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析を駆使し、遺伝子転写やDNA損傷修復、自然免疫関連分子の不活化など多様な生命現象の制御機構を解明しています。また、細胞核内のクロマチン複合体を直接可視化する手法を確立し、疾患の発症機構の理解や新たな治療標的の同定に向けた基盤を構築しました。
まとめ
武田医学賞は、医学の発展に多大な貢献を果たした研究者を称える賞です。2026年度は荒瀬尚博士と胡桃坂仁志博士の2名が選出され、11月に授賞式が執り行われます。