
トラタニは、一般的に推奨される呼吸法が中等症から重症の不眠症患者に対しては逆効果となる生理学的事実を明らかにしました。
呼吸法が不眠を悪化させるメカニズム
インターネット上で推奨されることの多い腹式呼吸や深呼吸などの呼吸法は、意識的に呼吸をコントロールする行為です。呼吸は本来自律神経が自動で制御するものですが、意識的に操作することで前頭葉が活動し、交感神経が優位になります。その結果、心拍数が上昇して呼吸が浅くなるため、構造的には眠りにくい状態を作り出しています。
軽症者と中等症・重症者の違い
呼吸法で眠れるのは、胸郭が沈み込んでおらず横隔膜が動くなど、呼吸構造が壊れていない軽症者に限られます。一方で、胸郭の沈み込みや横隔膜の停止といった構造的問題を抱える中等症から重症の不眠症患者が呼吸法を行うと、交感神経が刺激されて呼吸がさらに浅くなり、二酸化炭素の蓄積を招くことで不眠が悪化します。
睡眠中の呼吸低下という根本原因
睡眠中は重力の関係で誰しも呼吸低下を避けられませんが、胸郭の沈み込みにより換気量が低下すると、血液の酸性化や細胞の酸素欠乏が発生します。これが副交感神経の働きを阻害し、交感神経優位の状態を固定させてしまいます。不眠の解決にはストレス対策だけでなく、睡眠中の呼吸の質を支える構造的な改善が重要です。
まとめ
不眠症の根本的な改善には、意識的な呼吸操作ではなく、呼吸の質を左右する最上流の構造を整えることが不可欠です。睡眠の質は睡眠時間ではなく、どれだけ呼吸の質を維持して眠れたかで決まります。