
環境DNA分析が、かつて三重県伊賀市周辺に生息していた「ジンダイドジョウ」の現存可能性を明らかにし、その正体が「ドジョウType I」と同じ分類群であるという仮説を遺伝学的に支持しました。
研究の概要
近畿大学と龍谷大学の共同研究グループは、環境DNA分析を用いて、絶滅したとされていた淡水魚「ジンダイドジョウ」の現存確認と正体解明を行いました。三重県伊賀市周辺の河川から採取した環境DNAを解析した結果、希少な「ドジョウType I」の遺伝的系統が検出されました。
調査地点:三重県伊賀市および周辺の33地点
調査手法:環境DNA分析
主な成果:6地点から「ドジョウType I」のDNAを検出。かつての生息地である新堂地区のほか、過去に記録のない久米川および鞆田川流域でも検出された
絶滅したとされた魚の正体と遺伝的系統
「ジンダイドジョウ」は三重県伊賀市に生息していた、一般的なドジョウとは異なる特徴を持つ淡水魚です。2000年代以降は確認されず絶滅したと考えられてきましたが、2025年の研究で「ドジョウType I」と同じ分類群であるとの仮説が提案されていました。※ホルマリン固定された標本からDNAを解析することはできませんでした。
今回検出されたDNAの塩基配列を解析したところ、すべて「ドジョウType I」の日本海側クレードに属するサブクレードJと一致しました。この結果は、従来の形態解析に基づく仮説を遺伝学的に強く裏付けるものとなります。
今後の調査と保全に向けた課題
今回の調査により、伊賀市周辺に「ジンダイドジョウ」の遺伝的特徴を保持する集団が現在も生息している可能性が示されました。一方で、検出されたDNAが交雑のない純粋な在来個体に由来するか、安定した個体群が存在するかまでは今回の調査では判断できません。※今回の結果だけでは純粋な在来個体群の生息を断定することはできません。
今後は、DNAが検出された地点を中心に環境DNA調査と捕獲調査を組み合わせ、実際の個体から遺伝情報を取得することで、詳細な分布や個体群の状態を明らかにすることが求められます。
まとめ
環境DNA分析により、絶滅したと考えられていた「ジンダイドジョウ」の系統が伊賀市周辺に現存する可能性が明らかになりました。今後は捕獲調査を含めた詳細な調査により、その遺伝的状態や分布の解明を目指します。
関連リンク
https://doi.org/10.1038/s41598-026-68700-6