ST上昇型心筋梗塞治療におけるアスピリン早期省略の有効性を検証

ST上昇型心筋梗塞に対する緊急カテーテル治療において、治療開始時からアスピリンを使用しない「プラスグレル単剤療法」の有効性を検証した多施設無作為化臨床試験の結果が公表されました。

研究の背景と目的

急性心筋梗塞は、心臓の冠動脈が閉塞することで発症する生命に関わる疾患であり、緊急経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による治療が標準的です。治療後には血栓再発を防ぐため、アスピリンとP2Y12阻害薬を併用する「抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)」が長年行われてきました。一方で、抗血小板薬の複数使用は出血リスクを高めるため、近年ではアスピリンの投与期間を短縮する治療戦略が世界的に注目されています。本研究では、特に血栓リスクが高い「ST上昇型心筋梗塞」の患者を対象に、PCI治療開始時からアスピリンを省略する「プラスグレル単剤療法」が従来のDAPTに代わる治療戦略となり得るかを検証しました。

研究結果と考察

国内69施設の医療機関が参加した本研究では、患者を無作為に「プラスグレル単剤療法群」と「DAPT群」に割り付け、12カ月間追跡しました。その結果、プラスグレル単剤療法ではDAPTと比較して出血イベントは少なかったものの、虚血性イベント(心筋梗塞の再発など)が増加する傾向が認められました。特に心筋梗塞の再発率はDAPT群の1.3%に対し、プラスグレル単剤療法群では2.9%と2倍以上高い結果となりました。この結果から、虚血性イベントのリスクが高い病態において、出血抑制のみを目的として治療開始時からアスピリンを省略する戦略には慎重であるべきと示唆されました。本研究成果は、2026年8月29日(土)に医学学術誌「The New England Journal of Medicine」に掲載されました。

まとめ

本研究は、急性心筋梗塞の治療開始時におけるアスピリンの役割を再考する重要な知見を提供しました。今後のより安全で効果的な抗血小板療法の確立に向けた検討に貢献することが期待されます。

関連リンク

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2606997

https://www.kindai.ac.jp/meikan/2383-nakazawa-gaku.html

https://www.kindai.ac.jp/medicine/

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