
ヒト冠動脈アテローム性動脈硬化の病態解明を目指す阜外病院の研究グループが、Cloud-Cloneの試薬を用いて大規模臨床血清コホートにおけるタンパク質定量を実施した。
研究の背景と目的
冠動脈アテローム性動脈硬化は心筋梗塞などの重篤な心血管イベントを引き起こす主要な疾患ですが、ヒトの病態組織を用いた詳細な研究はこれまで困難でした。阜外病院心血管病国家重点実験室の研究グループは、単一細胞RNAシーケンシングを用いて細胞レベルの病態変化を解析し、臨床応用可能なバイオマーカーの確立を目指しました。本研究では、基礎的な細胞メカニズムから臨床検体を用いた検証までの一貫したパイプラインが構築されています。
研究概要:ヒト冠動脈アテローム性動脈硬化の細胞レベルの病態解析とバイオマーカー候補の検証
掲載誌:Nature Cell Biology
掲載時期:2026年7月
使用試薬:USEC688Hu ヒトオステオグリシン(OGN) ELISA キット
ヒト冠動脈の細胞解析と新規メカニズムの発見
研究チームは心臓移植ドナー19例から取得した56標本を解析し、病態進行段階ごとの単一細胞アトラスを構築しました。その結果、血管バリア機能を破綻させプラーク進行を駆動する新規内皮細胞サブタイプ「EC5 SLCO4A1+」を同定しました。さらに、転写因子「PRDM15」がこの病的内皮細胞への変化を制御していることを突き止めました。また、EC5細胞と炎症性マクロファージが「CXCL9-CCL3」を介した双方向の炎症フィードバックループを形成し、プラークの悪化を加速させていることも解明されました。
血清バイオマーカー候補の検証
本研究では、臨床での実用的な診断法を目指し、148名の患者血清を用いて分泌型タンパク質の定量解析を行いました。解析の結果、血清中のOGN(オステオグリシン)濃度が冠動脈石灰化スコアと有意な正の相関を示すことが確認されました。この結果から、OGNは将来的に放射線被ばくを伴う画像検査に代わる、非侵襲的なスクリーニングや経過観察のための有用な循環バイオマーカーとなる可能性が示唆されています。なお、ELISAキットによる大規模サンプル処理には、感度・特異性・コストのバランスが求められます。
まとめ
本研究はヒト検体を用いた解析により、アテローム性動脈硬化の新たなメカニズムと治療標的、および有望なバイオマーカーを明らかにしました。Cloud-Cloneの測定キットは、臨床研究におけるハイスループットなタンパク質定量を支え、基礎から臨床応用への架け橋となるトランスレーショナル研究の推進に寄与しています。
関連リンク
https://doi.org/10.1038/s41556
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