高分子ウィア=フェラン構造の構築に世界で初めて成功!~様々な機能を持つ先端材料の開発に期待~

芝浦工業大学応用化学科・永 直文教授と北海道大学触媒科学研究所・中野 環教授らの研究チームは、世界で初めて高分子によるウィア=フェラン構造の構築に成功しました。

先端材料の開発に向けて、研究の新しい方向性を切り拓く

ウィア=フェラン構造は、空間を等しい体積の多面体で充填する場合に最小の表面積となるユニークな立体構造であり、これまで有機物を用いて作製されたものはありませんでした。
今回の成果は、様々な材料への応用が可能であり、予想外の機能を持つ先端材料の開発に向けて、研究の新しい方向性を切り拓くものと期待されています。

※この研究成果は、「Scientific Reports」オンライン版に掲載されています。

【ポイント】
●世界で初めて重合誘起相分離による高分子ウィア=フェラン構造の構築に成功
●六角形と五角形の面を持つ多面体粒子および同多面体による空間充填構造を確認
●様々な材料への応用が可能であり、予想外の機能を有した先端材料の開発に期待

高分子ウィア=フェラン構造の構築に成功!

研究チームは、重合誘起相分離を用いてネットワークポリマーを合成することにより、ウィア=フェラン構造を構築しました。
このポリマーの合成には、多官能(四官能)チオールと(二官能)ヘキサメチレンジイソシアネートという2つの汎用化合物(モノマー)の重付加反応を利用しました。
この合成法は、多官能モノマーを「ジョイント分子」、ジョイント分子間を繋ぐ二官能モノマーを「リンカー分子」としてポリマーネットワークを形成するジョイント・リンカーコンセプトに基づくものです。

■今後の展望
今回合成された材料は、フォトニクス、分離、触媒、ナノ医療、構造材料などへの応用が期待されています。
予想外の機能を持つ先端材料の開発に向けて、既成概念にとらわれない新しいコンセプトで検討を進めていきます。

■研究助成
本研究の一部は、JSPS科研費(24550261)、MEXT科研費(JP19H02759)、科学技術振興機構(JPMJTMl9E4)の助成を受けたものです。

■論文情報
著者 :芝浦工業大学工学部応用化学科 教授 永 直文
    北海道大学触媒科学研究所 教授   中野 環
論文名:The first space-filling polyhedrons of polymer cubic cells originated from Weaire-Phelan structure created by polymerization induced phase separation
掲載誌:Scientific Reports
DOI  :10.1038/s41598-022-22058-7


<芝浦工業大学>
https://www.shibaura-it.ac.jp/

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