新たなルートで有望なフッ素化剤を合成、芝浦工業大学が開発

芝浦工業大学工学部の田嶋稔樹教授らが、安全かつ安価なフッ化カリウムから無水フッ化水素を定量的に生成する新たな合成法を開発しました。

概要

研究課題:安全・安価なフッ化カリウムから無水フッ化水素を定量的に生成するオンデマンド合成法の開発と、新規フッ素化剤のテーラーメイド合成
発表者:芝浦工業大学工学部・田嶋稔樹教授
掲載ジャーナル:Chemistry - A European Journal
URL:https://chemistry-europe.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/chem.202500789

新たなフッ素化剤の生成方法に成功

フッ化カリウムは最も安全かつ安価なフッ素化剤の一つですが、ほとんどの有機溶媒に難溶であることが課題となっていました。それを解決するべく、芝浦工業大学の田嶋教授率いる研究チームは、カチオン交換能を有するAmberlyst 15DRYとのカチオン交換反応を利用し、フッ化カリウムから無水フッ化水素を定量的に生成する新たなオンデマンド合成法を開発し成功しました。

フッ素化剤の多様性を拡大

さらに、生成した無水フッ化水素に対して種々のアミンを作用させることで新規フッ素化剤として有望なAmine-3HF錯体のテーラーメイド合成を実現しました。これにより、従来使用されるフッ素化剤と比較して、より高い反応性が期待できる有機強塩基-3HF錯体などを自由自在に合成することが可能となります。

新たな有機フッ素化合物の開発に向けて

この新たな合成法は、医薬品や農薬、機能性材料、さらにはPET検査用分子プローブの合成などへの応用が見込まれており、目的とするフッ素化反応に適したフッ素化剤を利用できる可能性を秘めています。これにより、新たな有機フッ素化合物への道が大きく拓かれることが期待されています。

関連リンク:https://www.shibaura-it.ac.jp/

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