健康習慣と熱中症リスクの関係性を解明:歩行習慣で入院リスクが約17%低下

JMDCと住友生命は、1000万人超の医療ビッグデータを用いた追加調査により、健康・生活習慣と熱中症の関係性に関する新たな知見を発表しました。

概要

JMDCと住友生命は、2025年に公表した「熱中症白書」の追加調査結果を第96回日本衛生学会学術総会で発表しました。この調査は、国内最大級の医療ビッグデータと解析力を活用し、熱中症の発症・重症化予防に資するエビデンスを提供することを目的としています。今回の発表では、2025年シーズンのデータを追加し、因果分析を実施しました。

熱中症白書:2025年4月公表
追加調査発表:第96回日本衛生学会学術総会
分析対象者数:13,497,935人
熱中症診断者数:25,144人 (0.19%)
平均年齢:46.6歳
男女比率:男性61.1%、女性38.9%
歩行習慣と熱中症入院リスク:約17%低下
歩行習慣と熱中症診断リスク:約8%増加傾向
歩行習慣と熱中症点滴リスク:約3%増加傾向
傾向スコアマッチングによる入院リスク低下:22%
全編参照URL:https://www.jmdc.co.jp/terms/heatstroke_white_paper_202504.pdf

歩行習慣が熱中症重症化予防に寄与

今回の調査では、健康・生活習慣と熱中症リスクの関係性を、因果関係を考慮した多変量解析を用いて検証しました。その結果、日常的に1時間以上の歩行または同等の身体活動を行っている人は、そうでない人と比較して、熱中症による入院リスクが約17%低いことが明らかになりました。これは、歩行習慣が熱中症の重症化予防に寄与する可能性を示唆しています。

一方で、歩行習慣のある集団では、熱中症の診断リスクが約8%、点滴を受けるリスクが約3%高い傾向も見られました。これは、歩行習慣のある人が屋外活動など熱中症リスクの高い行動をとる機会が多いことが背景にあると考えられます。しかし、入院リスクにおいては逆の傾向が確認されており、重症化予防における歩行習慣の重要性が示唆されました。

さらに、年齢や生活習慣などの影響を調整した傾向スコアマッチングによる分析でも、歩行習慣のある集団では熱中症による入院リスクが22%低いという結果が得られ、多変量解析の結果と整合性が確認されました。

分析手法の進化と今後の展望

本研究では、従来の分析手法に加え、統計的因果推論の手法である傾向スコアマッチングなどを導入し、因果関係をより深く分析しました。これにより、健康状態・生活習慣と熱中症リスクの関係について、よりロバストな統計的分析が可能となりました。

JMDCと住友生命は、今後も医療ビッグデータを活用した調査研究を進め、熱中症対策の推進に貢献していく方針です。具体的には、健康増進活動や体調管理といった個人による予防行動の促進、そして社会保障や民間保険による保障の提供といった多角的なアプローチを通じて、ウェルビーイングの向上を目指します。

まとめ

JMDCと住友生命による最新の研究結果は、日常的な歩行習慣が熱中症による入院リスクを低減させる可能性を示しました。この知見は、気候変動による熱中症リスクの高まりが懸念される中、個人が実践できる適応行動の重要性を改めて浮き彫りにしています。

関連リンク

https://www.jmdc.co.jp/terms/heatstroke_white_paper_202504.pdf

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