
新理論「二流路型リスキリング」は、パーソルイノベーション、パーソル総合研究所、早稲田大学商学学術院の長内厚教授の研究チームにより、企業のリスキリングが2つの成長ルートから成り立つ構造として体系化されました。
リスキリングの構造を解明する新理論
本研究は、2026年6月20日(土)・21日(日)に開催された組織学会研究発表大会にて「事業変革期におけるリスキリングの実態 ―二流路型人材形成―」として発表されました。これまでリスキリングは高度人材の育成が中心に語られてきましたが、本研究では企業の実態として、少数のエース人材を生み出すルートと、多くの社員が新業務へ適応するルートの2つが同時に機能していることを明らかにしました。
発表概要
学会名:2026年度 組織学会 研究発表大会
開催日:2026年6月20日(土)・21日(日)
開催校:関西学院大学(西宮上ケ原キャンパス)
発表形式:口頭発表
発表者:長内 厚(早稲田大学)、柿内 秀賢、清水 さやか(パーソルイノベーション株式会社)
研究の背景と分析手法
デジタル化やAI導入に伴う事業変革が進む中、リスキリング投資は加速していますが、どのような人材が変革を担い、学びがどう成果に結びつくかの根本構造は不明瞭でした。本研究では、このブラックボックスを解明するため、2025年10月に大手製造業2社の人事部門を対象に半構造化インタビューを実施し、リスキリングと人材再配置の実態を分析しました。
二流路型リスキリングの詳細
分析の結果、企業の成長は以下の2つのルートに大別されることが判明しました。
(1)プロ文系人材育成ルート(飛躍型成長):新規事業や戦略転換を担う高度人材の育成ルートで、その数は限定的です。
(2)プロ理系人材育成ルート(適応型成長):多くの社員が既存スキルを活かしながら近接領域へ移行し、組織全体の変化を支えるルートです。
また、AIの普及により出力の検証・調整・管理といった業務が増加し、中間スキル層の重要性が高まっていることも確認されました。
研究の意義と今後の展望
本研究は、企業変革が一部の優秀人材だけでなく組織全体の適応によって支えられていることを示し、人材戦略や教育投資の前提に転換を迫るものです。今後は、二流路構造と企業業績の定量分析や、自律成長型プラットフォームへの実装を通じ、個人と組織の成長を可視化する仕組みの構築を進めていきます。
まとめ
リスキリングが2つの成長ルートから構成されるという「二流路型リスキリング」の発見は、AI時代における人材戦略のあり方に大きな示唆を与える重要な知見となります。