
アテゾリズマブ・ベバシズマブと肝動脈化学塞栓療法(TACE)の併用療法が、切除不能な高腫瘍量の非転移性肝細胞がん患者において、TACE単独と比較して無増悪生存期間を有意に延長することが世界で初めて明らかになりました。
研究の背景と目的
肝細胞がんの治療において、カテーテルを用いて抗がん剤と塞栓物質を注入するTACEは標準的な手法です。しかし、腫瘍量が多い難治性の症例ではTACE単独での制御が困難でした。近畿大学医学部を中心とする国際共同研究グループは、免疫チェックポイント阻害剤であるアテゾリズマブと血管新生阻害剤であるベバシズマブをTACEに併用することで、治療効果が高まるのではないかという仮説を立て、臨床試験を実施しました。
試験の内容と結果
本試験は、中国と日本の40施設において、切除不能でTACEが適応となる高腫瘍量の非転移性肝細胞がん患者342人を対象に行われました。患者をアテゾリズマブ・ベバシズマブ+TACE群とTACE単独群に1:1で無作為に割り付け、治療効果を検証しました。
調査の結果、無増悪生存期間の中央値は、TACE単独群の7.03カ月に対し、アテゾリズマブ・ベバシズマブ+TACE群では11.30カ月と延長を確認しました。また、全生存期間についても改善傾向が示されています。なお、グレード3以上の治療関連有害事象は、併用群で61%、TACE単独群で40%でした。※治療関連有害事象による死亡は、併用群5例、TACE単独群3例に認められ、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。※死亡の発生率が極めて低く、死亡リスクの低減効果を判断するには十分ではないため、現在引き続き全生存期間についてはフォローアップを継続しています。
今後の展望
今回の研究成果は、2026年8月25日に学術雑誌「The Lancet Gastroenterology and Hepatology」にオンライン掲載されました。今後、この併用療法が標準治療として承認されることで、難治性の肝細胞がん患者の完治への貢献が期待されています。
関連リンク
https://www.kindai.ac.jp/meikan/569-kudou-masatoshi.html