概要
NTTデータと近畿大学病院は共同で、リアルワールドデータを活用した治験・臨床試験候補患者抽出に関する技術検証を完了しました。本検証では、近畿大学病院が参加する「千年カルテ®」が蓄積する電子カルテデータ等と、過去に実施された治験・臨床試験実施計画書における適格・除外基準を用いて候補患者抽出を実施し、その有効性を確認しました。この取り組みは、治験プロセスの効率化および迅速化による、日本の治験環境の包括的な改善を目的としています。
概要
候補患者抽出手法:リアルワールドデータ(電子カルテデータ等)と実施計画書の適格・除外基準を用いた解析
検証結果:対象集団を大幅に絞り込める可能性を示し、データに基づき候補患者を抽出する手法の有効性を確認
期待される効果:患者スクリーニング業務の効率化、治験開始までの期間短縮、医療現場の負担軽減、患者への適切な治験機会の提供
詳細公表予定:2026年秋に開催予定の学会
背景|治験における患者スクリーニングの課題
製薬業界において、治験や臨床試験を円滑に進めるためには、実施計画書で定められた適格基準を満たす患者を迅速に組み入れることが重要です。しかし、従来の患者スクリーニング業務は、医師や治験コーディネーター(CRC)によるカルテ確認等の手作業が中心であり、時間と労力を要することが課題でした。また、適格基準に合致する患者を網羅的に把握できないことも、治験開始の遅延要因の一つとなっています。本取り組みでは、この業界課題の解決に向け、実診療で蓄積される医療ビッグデータ「リアルワールドデータ」を活用した検証を実施しました。
特長
NTTデータと近畿大学病院は、リアルワールドデータを活用した候補患者抽出における技術検証を完了しました。本検証では、近畿大学病院で過去に実施された実施計画書における適格基準を基に、「千年カルテ」が蓄積する電子カルテデータ等を解析し、対象集団を大幅に絞り込める可能性を示しました。プログラムを用いた解析手法により、従来は医師やCRCの手作業に依存していた患者スクリーニングを、機械的かつ迅速に実行することを可能にしました。NTTデータは、認定医療情報等取扱受託事業者として、非構造化データを含む医療情報の取り扱いや分析に関する知見を蓄積しており、これらの知見と近畿大学病院の臨床知見を活用することで、実診療データの特性を踏まえたプログラム設計および検証の実施に寄与しました。
今後について
近畿大学病院とNTTデータは、本検証成果を踏まえ、候補患者抽出および組み入れプロセスの効率化に向けた取り組みを継続し、実運用における適用性の向上を図ります。NTTデータは、これらの取り組みを基に、医療機関および製薬企業との連携を通じた関連サービスの検討を進め、2026年6月以降の実用化を目指します。さらに、大規模言語モデル(LLMs)などの技術の活用も視野に入れ、抽出プロセスの高度化に向けた検討を進めることで、国内における治験の迅速化と質の向上に貢献していきます。
まとめ
NTTデータと近畿大学病院は、リアルワールドデータと電子カルテデータを活用し、治験候補患者抽出の有効性を確認しました。この技術検証により、治験プロセスの効率化と迅速化が期待され、2026年6月以降の実用化を目指しています。
関連リンク
https://www.med.kindai.ac.jp/