
岡山理科大学は、宇宙探査の食糧基地となる月や火星での魚類・甲殻類の養殖を目指す「宇宙養殖プロジェクト」において、擬似無重力環境下での稚エビの摂食実験に成功しました。この成果は、宇宙飛行士の食生活のQOL向上に貢献することが期待されています。
概要
宇宙養殖プロジェクトの概要は以下の通りです。
プロジェクト主体:岡山理科大学
研究目的:月や火星での魚類・甲殻類の養殖による宇宙飛行士の食生活QOL向上
主な研究者:山本俊政准教授、田所竜介准教授、津村誠一招聘教授、牧祥教授ら
実験手法:改良型クリノスタットによる擬似無重力環境下での稚エビ摂食実験
論文掲載誌:Microgravity Science and Technology(2026年6月)
論文タイトル:In Situ Observation of Shrimp Feeding Process Under Microgravity Environment
宇宙空間での養殖実現に向けた独自開発のクリノスタット
岡山理科大学の「宇宙養殖プロジェクト」は、将来の宇宙探査における食糧供給源として、月や火星での魚類・甲殻類の養殖を目指しています。宇宙空間へ稚魚や仔魚を運搬する際の課題、特に外的な刺激への弱さや無重力環境下での摂食行動の不確実性を解消するため、本研究グループは独自に改良したクリノスタットを開発しました。
従来のクリノスタットは、回転軸に対して固定された物体には擬似無重力環境を作り出せますが、水中を自由に移動する魚類には効果が限定的でした。そこで、魚が姿勢を戻す暇もないほどの高速回転を実現する新しいクリノスタットを専門メーカーに依頼し、容器やカメラ固定具、保護容器なども含めて手作りで開発しました。この装置により、稚エビが餌を食べる様子を動画撮影することに成功しました。
実験結果と今後の展望
実験では、稚エビの遺伝子解析(GO解析)を行い、無重力環境曝露による知見を発見しました。実験標本数を増やす必要性から、同じ甲殻類であるアルテミアを用いた補助実験も実施。アルテミアは成長が早く、一度に複数匹を容器に入れ、4日間の無重力曝露を行うことができました。また、アルテミアの餌となるテトラセルミスを用いた実験では、無重力下でもアルテミアがテトラセルミスを摂食することを確認しています。これらの実験には、岡山理科大学が開発した好適環境水が利用されました。
研究成果は2026年6月に国際学術誌「Microgravity Science and Technology」に掲載されました。現在、グループは国際宇宙ステーション(ISS)への設置を想定した水槽の開発や、完全閉鎖循環式養殖システムの構築、自動給餌装置、AI機能の搭載などを計画しており、宇宙養殖の実現に向けて研究を進めています。
関連リンク
https://www.youtube.com/watch?v=CRqHW7jbMO4
https://link.springer.com/article/10.1007/s12217-026-10262-3