
NTTドコモビジネス、東芝、NECの3社が、量子鍵配送の社会実装に向けた実証実験を開始し、国内最大の広域量子暗号通信ネットワークの構築に取り組みます。
次世代のセキュリティ技術に向けた取り組み
NTTドコモビジネス、東芝、NECは、総務省およびNICTが進める量子鍵配送の社会実装の一環として、東名阪を結ぶ約600kmの広域量子暗号通信ネットワーク※1の構築を開始します。本実証では、医療、金融、電力など機密性の高いデータを扱う業界での利用を見据え、量子技術による安全な通信の検証と有望なユースケースの創出をめざします。
※1:広域量子暗号通信ネットワークとは、東名阪を結ぶ広域ネットワーク上で量子鍵配送の性能、安定性、安全性、運用性などを検証するための実証環境です。
量子暗号通信が必要とされる背景
AIの進展やデータ活用が進む中、量子コンピューターの発展に伴い既存の暗号技術の強度が低下する懸念が高まっています。特に、現在の通信を盗聴・蓄積し、将来解読する「Harvest Now, Decrypt Later(HNDL)※2」というリスクへの対応は、安全保障や産業競争力の観点から重要課題です。これに対し、理論上盗聴検知が可能な量子鍵配送(QKD)と、それを用いた量子暗号通信への期待が集まっています。
※2:Harvest Now, Decrypt Later(HNDL)とは、暗号化された通信データを現在のうちに収集・蓄積し、将来の技術進展により解読することを目的としたサイバー攻撃であり、「現在の通信も将来解読され得る」という新たなセキュリティリスクとして認識されています。
実証実験の概要と技術的特徴
本実証では、長距離環境における量子暗号通信の性能や安定性に加え、運用のしやすさを検証します。また、参画ユーザーとの連携を通じてビジネスモデルや利用領域の開拓を推進します。
主な活用技術:
・量子鍵配送(QKD):量子力学の原理を利用し、計算能力に依存せず安全に暗号鍵を共有する技術。
・量子セキュアクラウド:秘密分散プロトコルを用いた分散ストレージにより、データの安全な伝送・保管・利活用を実現する技術。
国内初※4となるこのネットワーク構築には、エクシオグループ株式会社、エクシオ・デジタルソリューションズ株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー、合同会社デロイト トーマツ、さくらインターネット株式会社も連携して参画します。
※4:2026年6月30日現在、3社調べ。
今後の展望
3社は総務省が掲げる2030年のQKDネットワークの社会実装※5に向け、今後も検討と検証を継続します。
※5:総務省の関連資料で示されている将来像を指します。
まとめ
東名阪を網羅する広域量子暗号通信ネットワークの構築により、機密データの安全な広域流通と組織横断的な連携の実現可能性を検証します。各社は技術検証と社会実装の検討を並行し、次世代のセキュリティ基盤の確立をめざします。