東京工芸大学の村井亮太さんが、聴覚障害者のコミュニケーション手段である日本語の手話で使われる指文字を技術的に認識・理解できるよう実現する目的で開発した指文字データベース「ub-MOJI」が、公開されました。
概要
村井亮太さんによって開発された「ub-MOJI」は、日本語の指文字をコンピュータが自動的に認識・理解する技術の向上・発展を目的としたデータベースです。2025年6月から無料で公開されており、手話とテクノロジーの融合によるコミュニケーション支援の一端を担っています。「ub-MOJI」プロジェクトサイト:https://tpu-kanglabs.github.io/ub-moji/
開発の背景と目指すもの
日本語の指文字を精確に理解することは、手話の速さや単語の区切りが個人差により非常に難しいため、これまで困難とされていました。しかし、村井さんは「ub-MOJI」に含まれる指文字の動画データをAIで学習することで、これらの課題を克服。高精度な認識モデルの構築に成功しました。また、村井さんは現在、各地域の手話サークルと協力し、更なる精度向上と手話データの収集に取り組んでいます。
社会への貢献と今後
「ub-MOJI」の公開は、手話通訳支援システムや聴覚障害者向けの教育ツール、リアルタイム翻訳システムなどへの応用や研究の促進・発展に寄与します。これは、聴覚障害者のコミュニケーションを支え、インクルーシブ社会の実現に貢献するものです。また、村井さんは、指文字データを大規模言語モデル(LLM)に取り入れることで、より自然で文脈に沿った解釈を実現する研究に挑んでいます。
東京工芸大学の特色と展望
東京工芸大学は、「工・芸融合」による「工・芸共同研究」を特色としています。社会課題の解決に取り組むプロジェクト研究や課外活動にも、学生が早い段階から参加できる環境を整備しており、2026年には、学生が学ぶ時間をフレキシブルに組む「つうおん(通学 + オンデマンド授業)」を開始する予定です。東京工芸大学:https://www.t-kougei.ac.jp/
関連リンク
「つうおん」概要:東京工芸大学工学研究科 村井亮太さんが「The 40th International Technical Conference on Circuits/ Systems, Computers and Communications (ITC-CSCC 2025)」でBest Paper賞を受賞https://www.t-kougei.ac.jp/activity/pr/uploads/2025/07/kougei_itccscc2025_murai.pdf